PULSAR PRO インプレッション 岡本 紘幸 選手(NESTO FACTORY RACING)
2024.04.03
Coupe du Japonなど国内のマウンテンバイク競技で使用されるNESTOのフラッグシップマシン「PULSAR PRO(パルサー プロ)」を、ホダカ株式会社のワークスチーム「NESTO FACTORY RACING(ネストファクトリーレーシング)」の詫間 啓耀選手、岡本 紘幸選手、黒瀬 文也選手の3名にインプレッションしていただきました。
第2回目は、セルフディスカバリーアドベンチャー王滝120km(SDA王滝)での優勝経験もあるクロスカントリーマラソン(XCM)の強豪ライダーであり、2023年CJシリーズ(Coupe du Japon) 男子マスターズカテゴリナショナルランキング1位でもある「岡本 紘幸(おかもと ひろゆき)」選手によるインプレッションをお届けします。
ファーストインプレッション
国内で開催されるマウンテンバイク長距離レースで、最も過酷とも言われるSDA王滝に出場するため、PULSAR PROを導入。
グラデーションデザインの黒色にはラメが配色され、太陽光にあたるとキラキラと輝くカラーが印象的なこのバイクは、今までのNESTOのイメージを一新するデザインだ。
フルサスペンションバイクだとボトルケージが1つのみということが多いが、このバイクはダブルボトルとなっており、長距離ライダーである私にとってはとても嬉しいポイントだ。
バイクを乗り出した時、まず剛性の高さが一漕ぎごとに感じられた。サスペンションをロックアウトして全力でスプリントを行い、どれほどの持ち味があるのかを試したところ、力が逃げず推進力に変わる反応の良さを感じた。スラローム走行時もハンドルがクイックに動き、細かい左右の動きにも対応できる。
オフロード走行では、楕円のシートステーの恩恵か細かな振動も良く吸収し、驚くほどスムーズに走行できる。上りの段差や木の根など通常重心移動が必要になる場面では、バイクが心地よく動き障害物となるものを忘れさせてくれるような走行が可能であった。下りでは、低重心であることからスピードを上げてもバイクが暴れずに安定し、精神的にも余裕を持った走行ができライダーの負担を減らしてくれるように感じた。
無駄な力を使わず、下りで安定して走行することができることから、SDA王滝本番ではマニュアル通りにサスペンションをセッティングし走行することを決めた。癖がなく走りやすいバイクだ。
SDA王滝での実戦インプレッション
レース当日は長いパレード走行後にリアルスタートとなり、速度が急激に上がるシーンもあるが剛性の高さから周りに引けを取らず、自分の思い通りの走行ができた。
ヒルクライムにおいても、フレームの軽量さからか、よく登る。段差や路面の凹凸からの振動をよく吸収しバイクを前に進められる感触はとても心地よい。荒れた路面でもバイクが安定していることで狙ったラインをトレースしやすく、トラクションコントロールもバイクが助けてくれる印象だ。
レース終盤で疲労の限界が近づいて来た時、今までであればラインを間違えてしまうことなどが多発していたが、今回に至っては間違えることなく走行することができた。これは、バイクがライダーを助け続けたことで後半に差がついたのだと痛感した。そのことを証明するかのように、最後のセクションではいつもよりタイムの落ち込みが少なかった。
ありきたりではあるが、高剛性が生み出すパワー伝達、反応の良さ。サスペンションを動かすリンクの配置による振動、衝撃吸収性の良さ。そんなイメージの強いバイクである。
製品情報
- 製品名:PULSAR PRO(Frame Set)
- 製品ページ:https://nestobikes.com/products/pulsar-pro-frameset/
- 希望小売価格:319,000円(税込)
- フレームセット重量:2,100g(17.5inch)
ナショナルチャンピオン特別デザイン
2022年MTB XC男子マスターズカテゴリ3冠を記念した岡本紘幸選手の特別デザインのPULSAR PRO。
ワンオフハンドペイントの利点を最大限に活かし、量産製品ではあまり取り入れない特殊塗装による奥行き感のある見た目を実現。
レッドだけで3色を使用しており、遠目に見た時のダイナミックさと近くで見た時の繊細さを両立している。
バイクセッティング
- 重量:11.5kg
- サイズ:Sサイズ(16inch)
- メインコンポーネント:SHIMANO M9100
- ブレーキ:MAGRA MT8
- Fサスペンション:FOX FACTORY SC32 Travel:100mm サグ17%
- リアユニット(Rサスペンション):FOX FACTORY サグ25%
- ハンドルステム:P&P COMPONENTS HB-C130M(W:720mm)
- ホイール:P&P COMPONENTS WH-C1600M
- タイヤ:Vittoria MEZCAL TLR 29×2.25 空気圧1.3BAR
ライダープロフィール
茨城県高萩市出身、34歳。
セルフディスカバリーアドベンチャー王滝120kmでの優勝経験もあるクロスカントリーマラソン(XCM)の強豪ライダー。海外のワールドクラスライダーと渡り合った身体能力と経験を武器に、国内MTBレースシーンでも常に上位で活躍している。
2023年MTB XC男子マスターズクラスナショナルランキング1位、CJシリーズランキング1位。
NESTO FACTORY RACING
「NESTO FACTORY RACING(ネストファクトリーレーシング)」は、総合自転車メーカーホダカ株式会社のワークスチーム。Coupe du Japonシリーズを始めとしたマウンテンバイククロスカントリーおよびシクロクロスの国内レースに参戦。
NESTO FACTORY RACINGは、「自らが経験したオフロードバイクの楽しさを発信し、競技およびホビー層を含めた市場の活性化を目指す」を理念に活動する、当社社員と外部選手で構成される。製品について選手が感じた意見を速やかに開発にフィードバックする環境を整えることで、従来以上に日本の使用環境に適した機材開発につなげる。「人」と「機材」の両面で日本のオフロードバイク市場の活性化を目指す。